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[官能文庫] 秘密・その先で

秘密・その先で
秘密・その先で

タイトル 秘密・その先で
サークル 官能文庫
ジャンル

(この時刻なら、もう誰も来ない……)
しばらく画面を見つめたあと、怜奈はそっとスマートフォンを伏せた。
(ほんの少しだけ……彼のこと、思い出すだけだから……)
椅子へ腰を下ろす。目を閉じ、自分の身体へそっと手を忍ばせる。衣服がかすかに擦れ、押し殺した吐息が静かな会議室へ落ちた。
「……ん……」
自分の声なのに、耳へ届くとひどく近く感じられた。
彼の手を思い浮かべる。その指に触れられているつもりで、怜奈は自分の手をブラウスの胸元から下へ滑らせていった。薄いスカートの生地の上から脚の付け根へ触れ、愛撫するように指を動かす。
「……触ってほしい……」
――じゅ……、じゅわぁ……
愛液によって湿った下着越しに、怜奈の指が膣口を刺激する。そのまま指を動かし続けると、膣の疼きがさらに強くなった。
「んっ……あぁ……だめ、声……出ちゃう……」
誰もいないと分かっている。それでも、会社の会議室で自分の声が響くたび、肩が小さく震えた。
彼に触れられたいという欲望が、さらに身体を熱くする。まだ彼には抱かれていない。その事実を思うほど、代わりに動かしている自分の指が、ひどく淫らなものに思えた。
「……早く、触ってほしいのに……」
――くちゅ、くちゅ……
怜奈は濡れたショーツの縁へ指を掛け、脇からそっと内側へ滑り込ませた。指先が膣口をなぞり、そのまま奥へ沈んでいく。
膣壁を探るたびに呼吸が乱れる。不安定な椅子の上で身体がのけぞりそうになるのを堪えながら、怜奈は指を動かし続けた。
「もっと……んっ……もっと、触って……」
(もし、彼がここにいたら――)
その想像から離れられない。
彼の手で触れられた記憶と、今、自分で触れている現実が重なっていく。身体の奥で募り続けていた熱情は、もう容易には引き返せないところまで膨らんでいた。
――くちゅっ……
「……あっ……んっ……!」
その声が静寂を破った直後だった。
背後から、ふいに電子音が鳴り響く。
短い解錠音。
怜奈の心臓が跳ねた。
振り返る暇もなくドアノブが下がり、扉がわずかに開く。廊下の非常灯が、床へ細長く差し込んだ。
「桐谷さん、まだ残っていたのか」
低い声に、全身が凍りつく。

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