
六年見ていた、と先輩は言った。資料室の鍵を、先輩は内側から閉めた。
| タイトル | 六年見ていた、と先輩は言った。資料室の鍵を、先輩は内側から閉めた。 |
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| サークル | 桜花文庫 |
| ジャンル |
六年前に一度だけ手を貸してくれた、学部の二期上の先輩。
博士課程を経て、助教として同じ研究室に着任した槇野透。
温厚で、学生からも教授からも慕われる、表の顔。
だが大学図書館地下の閉架資料室で、彼は内側から鍵を回した。
『六年、見ていた。ずっと』——忘れていた細部まで暗誦されて、
嘱託契約の更新権を盾に、私は二重に逃げ場を塞がれる。
六年分の執着が、量の言葉責めとなって、薄闇の中で回収されていく——。










